はじめてのMSHV(1)


もう四半世紀前になりますが、海外各地にダイビングで訪れたついでに、現地でコールサインを取得して「DXバケーション」を楽しんでいた時期がありました。

ダイビングの時間を削ってまで無線をするつもりはなく、あくまで宿に帰った後の空き時間でのオンエア(・・・とはいえ往々にして運用は深夜にまで及びました)というスタイルです。
DXCCでは雑魚エンティティーでしたが、IOTAという括りだと結構レアだったことも。 時はちょうどサイクル23の極大期でもあります。

そういう所へ行く時は、一応はDXニュースでアナウンスしてから行ったのですが、あまり期待されるのも重荷だし、かと言って誰も呼んでくれないと淋しいもの。 
宵のうちはCW、(PHONEは夜間声がでてうるさいので不向き)眠気が強くなってくると半自動のRTTYをやっていました。 



当然FT8など当時はなかったのですが、今だとそんなシチュエーションに一番ぴったりなのはこの「MSHV」によるFT8だと思います。
それは、以下の「DXバケーションのジレンマ」をすべて解決してくれるからです。

 ■他で遊んだあと、ヒマな時間に無線に出たい。
 ■そんなに長時間出ていられない(疲れる)ので、セルフスポットするのも大げさだから、「みんなの074」に出よう。
 ■そんなにレアなところからじゃないけど、出たら出たでけっこう呼ばれる。
 ■まあ短時間だから「みなさんしばらくお騒がせします・・・・」で通すけど、やっぱりここはチャッチャカさばかないと迷惑だよなー

下の画像は当局が最近小笠原から運用した時の14.074MHzです。 アナウンスしたり14.080等を使うほどレアではありません。 それでも出ればこの通りです。



この時は常用しているWSJT-Xでやりました。 MSHVは「ガチのDXペディションをやる人のための道具」で、こういう事態に使える自分にもぴったりなソフトとは思いもしませんでした。

WSJT-Xだと上のような真っ赤っ赤をチマチマと1分1局ペースでさばくしかないのですが、ここでMSHVを使えば処理能力は2倍になります。 

さらに2スロット使いなら4倍にもなるのですが、実はみんな使いの「**.074」ではマルチスロットは動作しないようにMSHVはできています。 これは「2スロット以上使うぐらい呼ばれるシチュエーションなら、前もってアナウンスするかセルフスポットして標準外周波数を使え」という設計ポリシーのようで、もっともな話だと思います。 
また「TX 1st (even)」 でないとマルチTXスロットは使えません。 これも同じ理屈でしょう。

でも1スロットで、オートマの2段シフトみたいな運用ができるだけでも大助かりです。


しかし、このMSHVには「DXバケーション」にほ不向きな致命的な問題が内在します。 それは次節にて。



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