かれこれもう2年ぐらいサテライト通信をやっていますが、いまだにできないのがトラッキング。
周波数ひとつ満足に合わせられない、いつまでたっても初心者です。
つまりBモードで言うとこんな感じ・・・・
①あっ、JQ1YLKがEO-88で145.970MHzでCQを出している!
②衛星はMEL(最大仰角)よりやや手前
③さあ、じゃYLKを430で呼ぼう!・・・・・ で、いくつで呼べばいいんだ? 435.XXXMHz ????
①は各衛星のアップリンク/ダウンリンクの周波数一覧表がないとまず話になりません。
これはCQ誌のフロクのハム手帖にも載っていますし、慣れればよく使う衛星の周波数はうろ覚えできたりします・・・が
覚えた頃には衛星が寿命を迎えます(笑)。
これが第1の周波数あわせの基準。
さらに、CWやSSBはリニア・トランスポンダーつまり20KHzかそこらのバンド幅があります。
しかも逆ヘテロダイン(アップリンク周波数を上げると、ダウンリンク周波数は下がる関係)なので、
周波数関係を暗算するにも、足し算引き算すべて逆になります。
これが第2の基準。
さらに第3の基準として、衛星には「ドップラーシフト」という現象がつきまといます。
上の②がそれに対応します。
たとえていうなら、60km/hで近づいてくる救急車は
♪ソー♪シー ソーシー →通り過ぎると ♪ファー♪ラー ファーラー
100Hzかそこら音程が下がる変化をします。 ただ、これは音速の話です。
((( ) ) )
衛星はすごく速くて、電波の速さ、つまり光速に対してのドップラーシフトを生じます。
その量は一般的な低軌道衛星だと20kHzもの変化になります(430MHzの場合)。
ひとつの衛星がもっているバンド幅が20kHzしかないのに、地球を周回するそのスピードだけで周波数が同じぐらい動いてしまう・・・
もうこれは「じゃじゃ馬ならし」の世界です。
・・・・ではこの「じゃじゃ馬ならし」 ふつうどうやっているか? いくつか方法があるようです・・・
(1)一番簡単なのは、「周波数対照表」をつくっておくことです。 たとえばAO-73という衛星だとこんな感じです。
AO-73 周波数対照表
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アップリンク
衛星への送信
(435MHz)
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.130
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~
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.135
|
~
|
.140
|
~
|
.145
|
~
|
.150
|
ダウンリンク
衛星電波の受信
(145MHz)
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.970
|
~
|
.965
|
~
|
.960
|
~
|
.955
|
~
|
.950
|
これと、衛星の位置によって±どっちにドップラーシフトしているか、アタリをつけてちょっと短点を打って戻りの確認(=ループテスト)を
行いつつ周波数を見定める・・・いや、聞き定める
これがオーソドックスな方法のようです。
衛星バンドを聴いていると、目星をつけた局を呼び出す前に短点符号が聞かれるのはたぶんこの方法でしょうか。
(2)これ以上になると、普通はコンピューターのお世話になります。 (わたしもこれに依存しています)
私が使っているのは、アマチュア無線の総合PCアプリ「HamRadioDeluxe」に組み込まれている「HRD Satellite Tracking」というもので、
以前はIC-706mk2GとIC-7100の2台を、CI-V経由で送受周波数を連動させて使っていました。
でも周波数を微調整するときは連動を解除してマニュアル操作にする必要がありました。
やがて下のスクショに表示されている周波数を、スライドバーで実機をワッチしている周波数に合わせ(ここだと145.959MHz)、
それで得たアップリンク周波数(ここだと435.141MHz)に送信リグ実機を手動で合わせる、という
「半アナログ・マニュアル操作」に落ち着いてしまいました。 (なんとも、もったいない・・・・)
ちゃんと使いこなせば、スマートに周波数が追従し楽ちんなオペレートができたんだと思いますが、
この「早見表」的な使い方によるVFOさばきもなかなか楽しく、それ以上の進化を拒否しています(笑)。
IC-9700などはもはや「電波の出るコンピュータ」。パネル面で衛星名を指定するだけで自動で2VFOが連動して、
ワッチ周波数ドンピシャになるようアップリンクが勝手に定まるんだとか。
そりゃこの上なく便利だと思います。
でも「じゃじゃ馬ならし」の妙味からは遠ざかってしまうような気もします。
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