そうは言っても・・・(その1)

「そうは言っても、モールスを覚えたところですぐに使えるわけではないだろう?」

まず、モールスを覚える目的は、「視覚にも聴覚にもよらず、遠隔にも対面にも使えるコミュニケーション手段の一つにする」ことでした。

次に状況です。 現在一般的にモールス信号が使われている世界は、「アマチュア無線」に限られています。

ですが、この2つを結びつけて、「モールスを通信手段とするのなら、アマチュア無線の資格をとらないと始められない」と考えるのは早計です。

確かに、「無線通信でモールスを使う」とするなら、事実上アマチュア無線しかなく、しかも2020年の法改正で実現した「アマチュア無線の体験運用」からはモールス通信が除外されているため、現行法令では盲ろう者にはアマチュア無線を(免許を取得せずに)体験する手だてがありません。

しかし、無線通信に限らなければモールス通信には資格要件はありませんから(総務省に確認済み)、たとえばネット上で行うチャットをモールス符号を使って行うことは自由です。

アマチュアバンド以外で、そんな「モールス符号」を介してつながる世界はあるのでしょうか?

私は、今日ある人からそういう場が存在することを教えてもらいました。 それは「DitDahアプリ」の中にある「DitDahChat」。 相手がある話ですが、「+14dbproject」」とか決まった名前の部屋を毎回つくって、そこに定期的に集まったり、V/UHFのメインチャネルのように待ち受けに使ったりすることができます。

現行の国家試験/養成課程講習会の制度では、盲ろう者にとっては受験勉強はもとより、試験や講習に際しての介助者の確保などあれこれと負担が多く、「ちょっとやってみたいかも・・・」という気持ちが芽生えても、実際に体験できるようになるまで、あまりに道のりが長すぎます。

「電信の体験運用」が法律上不可とされるのにはそれなりの根拠があるようですが、この場合はそれが本当にうらめしいです。 当面はこうしてそれに代わる場を用意するしかなさそうです。

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