ATU stay at home

 (HF帯マルチバンド スモールループアンテナ)


せっかく4年振りに里帰りしたアンテナチューナーですが、
残念ながら我が家には古株のSG-230がまだまだ現役。
控え選手、といっても出番はまず回ってきません。

そこで、ステイホームでクラブ室に集まれないローカル局にも使ってもらえるよう、今日はマンションベランダ向けの相方(=アンテナ)を作ることにします。

材料はこちら。
 

水道管に使われるVP-13の高耐衝撃性版、HIVP-13の2mを2本、それとT型継手(チーズ)を7ヶ。
これでスモールループ(MSL)アンテナのスプレッダを作ります。 
市販のMSLアンテナは直径850Φなので、これに内接する程度の四角ということで600角ぐらいにしました。



なぜHIVP-13なのか? 単にこの目立たない色がほしかっただけなんですが、
場所によってはVPより目立つかも知れません。
パイプを切断後仮組みしてみました

 
エレメントを通すところに切り込みを入れます。
今回は2mmΦのアルミ線を使うのですが、溝幅2mmは1回で作れません。
ピラニアン鋸で2本切り込みを入れて欠き込みます。



園芸用のアルミ線2mmに圧着端子をつけて7回巻きます。
正方形の1辺は60cm、高さは30cm、
巻いた線の長さは約19mでした。



重さは、863gでした。 V/Uの2バンドGPでもこれくらいの重さのものはあります。
ベランダに取り付けても問題ない軽さです。 




給電部はこんな感じです。
マストは同じHIVPの16Φ。 異径ソケットに六角ボルトを生け込んで着脱できるようにしました。



室内ですが、アンテナアナライザですっぴんの同調周波数を調べてみます。



21MHz台・・・アンテナ線の実長からの単純計算だと16MHzぐらいなのですが、
まあ・・・コイルみたいなもんだし。

この半分の10.9MHz近辺とその奇数倍(32.7MHz、54.5MHz)近辺は
アンテナチューナーには酷な周波数ということになるそうです。
まあこれなら大丈夫でしょうか?

この室内の状態で無線機に接続して、チューニング動作の試験をしてみました。
結果は、
1.9MHzバンド     = 同調不能(SWR=∞)
3.5~50MHz全バンド= 同調(SWR=1.0~1.2)

よくよく取説を見たらAH-4は1.9MHzは非対応でした。 同調しなくて当然。
なので送信は大丈夫なようです。 チューナーの回路にも不具合はなさそうです。


続いて、庭に仮設して常設のアンテナ(6mのローディングバーチカル+ATU)と比べてみました。
てっとり早く数字で比較できるFT8でやってみます。

何回かデコードさせて得たデシベル値を、五輪競技と同じく
最大最小各1サンプルを除いて平均しました。
受信機はどちらもIC-7100。

コールサイン 今回のアンテナ
(dB)
既設バーチカル
(dB)
7MHz 毎回7~8局 毎回9~10局
JH8*** -3 +2
JN3*** -14 -16
JP3*** -3 +4
JA3*** 0 +8
JA1*** -15 -8
JF6*** -5 -2
JH5*** -13 -5
14MHz 毎回4~5局 毎回12~15
RC0** -15
KG6*** -15
W4*** -12 +3
N7** -15 -4
K7** -7 -4
AH6** -15 -3
18MHz 毎回2~3局 毎回5~6局
FK8** -8 +1
HL** -4 +3


このMSLアンテナは水平偏波なので、垂直偏波のバーチカルと直接比較はできませんが、
地上高や建物の影響を考えれば、まずまず使えるという気がします。

試しに7MHzで-13dBだったJH5の局を呼んだら、即応答があり
帰りリポートも-13dBでした。



当局はもはやHF機は全部ICOMなのでAH-4は直結できるのですが、
他社製リグでも使えるよう簡易コントローラーを作りました。
(出典:『アパマンハム・ハンドブック』JJ1VKL原岡OM著)
上の運用もあえて直結せず、これでやりましたが良好でした。

これにて、ステイホームによりクラブ室の屋上から撤去したAH-4の
「ホームステイ System」は完成です。

20年前太平洋のIOTA遠征→クラブ室の屋上→ と続いたチューナー君の「第三の人生」ですが、
もう少し暑さとコロナの第五波が収まった頃に、ローカル局に使ってもらう予定です。


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