口先だけの6m&down(その1)

「目や耳が使えなくても、触覚さえあれば電信はできる」ことは実証できました。 私はその過程で「盲ろう者」と出会い、触手話や指点字といった「指の力」を目の当たりにしたのですが、今度はふと「手がなくなったら、電信どうしよう?」という考えに囚われてしましました。

CWのスラングに「QLF」というエセQ符号があります。 「LID」と同義で、「あんたの符号は、左足(Left Foot)で打った方がマシ(なぐらいキタナイよ)」という意味です。 これは肯定的にとらえ直すなら、「左足でもそこそこモールス符号は打てる」ということです。 電信の社会では、モールスを「手で打つ」ことの下位つまり次善策として「足で打つ」ことを結果的に「QLF」は挙げていることになります。 これは民間伝承?的な視点ですね。

 

さて、がらっと話は変わって・・・今度は医学的視点です。

アメリカのペンフィールドという脳神経外科医がつくった、大脳の感覚野・運動野の「脳地図」というのがあります。 これを見ると、脳の中で「体の各部から刺激を受け取る」領域と、「自分の意思に基づき運動の指令を出す」領域は、体の部位により偏りがあるのがわかります。

最も「鋭敏で器用」な部位はここでは異様に大きく描かれていて、それは「両手」と「口」です。 ですから「手がなくなったら、電信どうしよう?」の代打として最も有力なのは医学的には「口」ということになります。

 

実際、足の指をトントンするのも、歯をカチカチするのも、両方ともモールスが打てそうです。 ではどっちがより打ちやすいか?・・・・・ 少しやってみればわかりますが、訂正符号(短点8つ)を足で打とうとすと簡単に土ふまずがツリます。 ここはやはり医学が言っている「歯」に軍配が上がります。

それでは、歯で打つモールスがいかほどのものか? 歯で打鍵する「口先電鍵」をつくってみることにしましょう。

その2 へつづく)

 

 

 

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