前にここに書きました。
「モールス符号」は、符号なし/短点/長点の3値をとるデジタル通信の約束事の一種、と。
兄貴分にルイ・ブライユが発明した「点字」があります。 こちらは、点がある/なしの2値6ビットのデジタル通信です。 1825年生まれの今年でちょうど200歳。 弟のモールス符号は今年188歳になります。 どちらも人間自身でデコードするファミリーに属します。
でもこの兄弟、ちょっと違うのは弟の方がちょっと「自由」ということ。 弟の方は聴覚、視覚それに触覚にも対応しますし、電波に乗せることが多いので、デジタルのくせに「かすかに聞こえる」とか「半分ぐらいしかわからない」といったいい加減さも許容します。 末っ子のFT8なんぞにはとてもできない芸当です。 (おっとFT8は人間がデコードできないからこの場合「甥っ子」ですかね?) そして弟は実に「間」の取り方がうまい。 「73 TU E E」と活字で打つとなんだか無味乾燥ですが(点字で打ってもそうだと思いますが)、弟はこの符号の間の取り方で、実にうまく「なごり惜しさ」を表現します。
昔々(40年ぐらい前だったでしょうか?)JA6のOMに、別れ際のVAの「最後のダッシュ」を打つまで「絶対この人はエレキーで打っている」と誰もが信じる、見事なバグキー名人がいました。
バグキーは、以上のようにデジタルなんだかアナログなんだかわからない「モールス電信」の中にあって、デジタル符号(=短点)とアナログ符号(=長点)半々の、まさにトワイライトゾーンの道具と言えるでしょう。 JA6のOMはそれを完璧なまでにデジタルっぽく操っていたわけです。
バグキーであんな符号をいつか打ちたい・・・とは思うのですが、ついつい安直な2レバーパドルに走ってしまうので到底およびません。 その代わり私は、A-1Club主催の「ストレートキーコンテスト」には、バグキーの長点側を使って「デジ/アナ半々のバグキーを、完璧なまでにアナログっぽく操って」参加しています!(・・・まったく自慢にならない・・・)