アンテナ二刀流(GP+ターンスタイル)


2年前に、「GPでも衛星通信はできる」と聞き、悪戦苦闘の末、衛星通信で交信できるようになってまだ半年ぐらい。
この間、自分の無線設備を衛星用に改良するとか、いっさい手を掛けていません。

でもGPアンテナで衛星通信を始めると、やがて
「どうしてもこれだけは対応しとかないとなー」 という場面があることに気づかされます。
GPアンテナなど垂直形無指向性のアンテナのビームパターンはだいたいこんなです


つまり、自分の真上を飛ぶ、最も衛星からの電波が強くなる方角には、GPアンテナは
からっきし役目を果たせない、ということ。

「真上に飛ぶアンテナがほしいなあ」ということで作ったのが、2エレのターンスタイルアンテナ。
直交2方向のダイポールアンテナに位相差90°で給電する、水平十字形のターンスタイルアンテナに、
地面側に反射器をやはり十字形に配したこの「2エレターンスタイルアンテナ」は、
結局、「鉛直に固定した2エレのクロス八木アンテナ」と同じです。
ビームは真上方向のみ。
      
この2種類のアンテナをうまく切り替えることができれば、下のようなほぼ全天をカバーできるアンテナ系になるのですが・・・・





衛星通信には現在多く使われているのがBモードとJモード。
Bモードの方が送信435MHzで受信145MHz。 Jモードはその逆です。

ですから、両方のモードに出ようとすれば、このターンスタイルアンテナは145MHz用と435MHz用を1つずつ作る必要があります。

どうせ上向きなので、同じ1本のパイプにまとめてつけてしまいました。



影響があるかないかわかりませんが、2つのアンテナはエレメントがそろわないよう45°ひねってみました。
目立たないよう全面熱収縮チューブ仕上げです。 
誘電率による同調周波数の変化といったものは特段ありませんでした、


さてここからが本題。

この2本のアンテナとタッグを組むのが、奥に見える白い144/430MHz兼用のGP、それと同じのがもう1本あります。
(写真では見えません)

合計4本のアンテナを、1パス10分ぐらいしかない中でどうやって切り替えるか?
ここはデュープレクサを2台使って工夫してみます。



実線の接続をすると、送受信ともターンスタイルアンテナに接続され、
逆接続して点線の配線にすると、送受信ともGPアンテナになります。
IC-7100は144MHz専用、IC-706mk2Gは430MHz専用機となります。

IC-7100は操作部がセパレートになっているので、遠慮なく本体は「回れ右」させてアンテナコネクタを真正面にします。
IC-706mk2Gの方は430MHzの受信があるので、144/430のデュプレクサをフィルタ兼延長コネクタにして同じく
真正面に持ってきて、両方のMコネクタを変換コネクタでBNCにしました。



2本のアンテナケーブルの差し替えに要する時間は約5秒です。 
1交信が10秒程度の衛星通信にはちょっと長い気もしますが、指をくわえてフェードアウトを聞くこともなくなり御の字です。
むしろ、ゲインがあるのでその分出力をしぼらないといけません。



IC-7100の導入以来、ほぼ戦力外通告を受け工事設計書からも外されてしまったIC-706mk2Gでしたが、
晴れて現役復帰となりました。 
かつては7つの海(いや・・・3つか・・・)を股にかけていましたが、今度の相手は宇宙です。

100Wの技適機種としてJARDに保証してもらいましたが、実際は430MHzオンリーで高々10数Wで
余生を送ってもらいましょう。


この話は・・・一応こちらに続きます

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