ヘッドホン分配器の製作


ようやく、コロナも落ち着いてきました。 クラブ員が無線室に集まる機会も最近多くなり、そろそろこの仮設店舗も店じまいかも知れません。

さてJQ1YLKは専用のクラブ室があるわけではありません。 ただ当地域の非常通信の拠点でもある都合上、活動の都度部屋を変えるわけにもいかず、他の施設と共用する形で場所は固定してもらっています。

そんなに大きな部屋でもないところの一角を使わせてもらっているので、クラブ員が集まるともう一杯になります。 ある人はリグの前に座ってその回りに人が集まり、そこに寄れない人は後の方で別の話の輪ができたりします。 これも自然の流れ。

さてそうすると、何MHzという電波の上でなく、受信音が響く室内でQRM(混信)が起こります。 「そんなもん、ボリューム上げればすむ話じゃないか」と思うかも知れませんが、そういうわけにもいきません。

立場を変えて考えてみましょう。 市民センターのとある一室にちょっとだけ用事があったとします。 その部屋はいつでも出入り自由です。 でも行ってドアを開けようとすると、どうも「ピアノ同好会」が活動中らしくて、ショパンの練習曲をひたすら弾いています。 さて、あなたならどうしますか?
 
①構わずおもむろにドアを開けて入り用を済ます ②ピアノがつっかえるか弾き終わるタイミングまで待ってから入る ③やめとく  

これと同じことを私たちはやっているのです。 いずれにしろこういう場合、なるべくこうした「違う世界」を作らないことが肝要です。
無線クラブの場合、そこで有効なのがヘッドホンです。 でもヘッドホンは普通は無線機1台に1つしか出力はありません。
「この局最近よく出てるよね」 「6エリア誰か応答して来てますよ」 「あ、そろそろヨーロッパが聞こえ始めましたね」 
大勢居るのにそんな会話ができないのも寂しいものです。

そこで(いつも前置き長い)、ヘッドホンの分配器をつくってみました。 
   

中身は至って簡単、ジャック以外は抵抗だけです。 抵抗を星形に接続して各々の先端にジャックをつけ、1つはプラグにします。
このときの抵抗の値は、ヘッドホン(インピーダンス8Ω)の端子に挿す入力プラグ+分配数(今回は3)=N として、 R=8(N-1)/(N+1) になります。
2分配だとR=4Ω、3分配だとR=4.8Ω、8分配だとR=6.2Ω・・・ 3分配なので4.7Ω、ステレオなので8本必要です。

そんな低抵抗はあまり使わないので秋月電子に買いに行くと、100本50円で売っていました。 バラで8本買うより安いのでこれを買いました。 家に帰ってリグの低周波出力を見ると2Wですと。 むむっ買ってきたのは1/4Wじゃないか・・・・ということでまあ大丈夫とは思ったのですが、念のため二並二直列にして4本で4.7Ω1Wの抵抗にしました。 そのため4.7Ωが32本も使われています。 まあたったの16円ですが。



ヘッドホン3丁でも「寄ってたかって」状態になるので1台はbluetoothでペアリングできるようにしました。 ちょっと無線機から離れたところでもワッチに参加できます。
知らなかったのですが、bluetoothってモノによってはトランスミッター1台に同時にヘッドホン2台ペアリングできるんですね。 ということはこの分配器は受信を最大6人、ちょっと無理すれば12人までシェアできることになります。
(2023.3.25)


由木東空中線研究所 目次へ戻る