さて、家で無線機をいじっている時は机の上にノートパソコンがありますから、送受信別々の2台の無線機+パソコン画面を
つねに見やすい環境で使うことができます。
こんな感じです。 まあソコソコすっきり置けるのでパソコンも活躍できます。
一方、衛星通信を車から移動運用しようとすると・・・(ふしぎなもので、なぜかやりたくなります)
下の写真のようになってしまいます。
カオス状態です。
衛星トラッキングで頼りにしていたパソコンは、直射日光下では液晶画面がほとんど見えなくなり、
そもそもサブPCなので画面も11インチと小さめ・・・、
衛星トラッキングとログ帳づけを両方同時にやるなんて、とても私にはできません・・・・
そこで「なんとか昨今のパソコン依存から脱却して衛星追尾をやろう」プロジェクトとして始動したのが、
Ⅰ. アンテナをパソコンの助けを借りずにユルユルに自動追尾させよう → 「VPローテーター」
そして、
Ⅱ. 衛星のややこしい周波数関係をアナログで求められる道具を作ろう → 「サテライト計算尺」
なのでであります。
-・・・-
紆余曲折を経て、その成果品は以下の通り。
これは、フリーCADソフトの「RootProCAD」で描いたもので、実は右の小さい円の部分は左とまったく同じ、
というか、実際は余計です。 仕上がり見た目は下の写真のような感じ。
左の大きな図形で、
外から2番目の同心円 → 赤色=145MHzの周波数帯と各衛星のバンド
その赤い円から内側4つめの同心円 → 二重線=ここに切れ目が入って、内外の円盤が分かれます
その内側は右の図形とまったく同じ → 緑色=435MHzの周波数帯と各衛星のバンド
になっています。
そして、周波数の振り方は内外逆向き。
ここまでで、
①来ている衛星を内外の円の帯から見つけて(同じ色になっているもの)、
②同心円の中心を通る直線に、内外円盤各バンドの中心周波数(▲印)を合わせます。
こうしておいて、ある受信周波数になるように、中心を通る直線をチョロっと動かせばもう片方の円盤の目盛りが対応する送信周波数です。
ただしドップラーシフトは無し、でです。
ドップラーシフトをこの計算尺に見込むには、「中心を通る直線」の方に細工します。
つまり、逆ヘテロダインで内側の435MHzの方が3倍シフト量が大きいのですから、
先の直線を中央にして、ちょうど漢字の「小」の形の補助線を描いてやればいいわけです。
以下、Bモードの衛星、EO-88を例にとってみます。
EO-88の送受中心周波数(DOWN=145.975MHzとUP=435.030MHz)の▲同士をこの赤線で合わせておいて、
この黄色いEO-88のバンド内で赤線目盛りをずらすのですが、
ドップラーシフトの量は『145MHzで高々±3kHz、435MHzは±9kHz』もカバーすれば事足ります。
それで、この『 』内のを補助目盛りとして罫書いてやります。(透明アクリル板のスジがそれ)
今EO-88衛星(Bモード)が地平線を横切って昇ってきて(AOS)、
けっこう上がって充分ダウンリンクが強くなったな・・・というタイミングで、
145.975MHzで「CQ SAT DE JQ1YLK」が聞こえたとします。
この時どのへんで送信すればいいかというと、
このAOS側の一番右から2つめぐらいの罫書き目盛りをつかって、ここを145.975に合わせると
下の目盛りは435.026MHzぐらいになっています。
上の写真を使ってリクツに沿って言うと、
①受信周波数145.975MHzに右2番目の罫書き線(+2kHz)を合わせる
②このとき、衛星が出しているダウンリンク電波は、実は赤線上の145.973MHz。 近づいているのでここから+シフトしている。
③衛星のトランスポンダーが送信(ダウンリンク)している145.973MHzに対応する受信(アップリンク)周波数は、435.032MHzである。 (赤線を下に追う)
④接近してくる衛星にその435.032MHzを受信させるには、ドップラーシフト量だけ低い周波数で地上から送信すれば良い。
⑤435MHz帯でのこの時のドップラーシフトは145MHzの3倍、つまり2kHz×3=6kHz。 だから435.026MHzで送信すれば良い。 これは①の罫書き線を下に追った目盛りに相当する。
ここで送信すれば、まあ大きくは外れずに可聴音で自分の波のダウンリンクがモニタできる、という具合です。
(なおJモードですと写真のAOSとLOSは逆になります)
作ってからなるべくパソコンのお世話にならないよう、つとめて使っていますが結構手軽で便利です。
以上、この「サテライト計算尺」と、「VPローテーター」の完成をもって、衛星の『アナログ・トランスフォーメーション』は一件落着といたします。
(2022.4.25)
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